タップダンサーのための音楽レーベル「On Tap Records」を始めました

タップダンサーのための音楽レーベル、On Tap Records(オン・タップ・レコーズ) を始めました。

レッスンで、基礎練で、舞台で。「本当に踏める」曲だけを届けるレーベルです。

この記事では、なぜタップのインストラクターが音楽レーベルを作ったのか。そして制作にAIを使っていることを、なぜ隠さずに書くのか。順番にお話しします。

目次

「ちょうどいい曲がない」という長年の悩み

タップダンスを教えていて、ずっと困っていたことがあります。

練習に使える曲が、とにかく見つからないんです。

基礎練に必要なのは、正確なBPMで、最初から最後までテンポが揺れない曲。でも現実はこうでした。

  • メトロノームは正確です。でも、音楽ではありません。 カチカチという音に合わせて踏んでも、グルーヴは育ちません
  • 好きな曲は、練習には向かないことが多い。 テンポが揺れたり、欲しいBPMと微妙に違ったり、構成が複雑だったり
  • 「このBPMで、このフィールで」というピンポイントの曲は、探しても存在しない。 BPM100のスウィングが欲しい夜に限って、見つかるのはBPM112の何かだったりします

正直に書くと、私は曲選びがとても苦手です。

普段あまり音楽を聴かないので、レッスンのたびに「今日は何を使おう」と悩みます。最近は YouTube のレコメンドから適当に選ぶことが多かったのですが、似たような曲ばかり続くんです。

そうすると、曲調に引っ張られてレッスンまで単調になってしまう。

結局、多くのタップダンサーが同じ曲を使い回して、あとはメトロノームと気合で基礎練を乗り切っている。それが現状でした。

AIに曲を作らせてみたら、意外なことがわかった

AI作曲の Suno は、出た初期の頃から遊び半分で触っていました。

その頃は「おもしろいけど、まあこんなものか」という程度で、レッスンで使おうとは思いませんでした。ところが最近になって、いよいよ実用に耐えるレベルになってきた印象があります。

「BPM100のスウィングジャズ。ウッドベースとブラシのドラムで、テンポは一定に」

そう注文すると、数分で曲が出てきます。長年「存在しなかった」ピンポイントの曲が、注文できるようになりました。

ただ、すぐに気づいたことがあります。

AIは「それっぽい曲」は作れても、「踏める曲」かどうかは判断できない。

出てきた曲を実際に踏んでみると、すぐわかります。カウントの取りにくいイントロ。いつの間にか揺れているテンポ。指定したはずのBPMと微妙に違う仕上がり。8カウントで割れない小節。

聞き流す分には気づきません。でも、踊ると一発でバレます。

つまり、こういうことです。

AIは曲を量産できる。でも「踊れるかどうか」を判断できるのは、踊り手の耳と足だけ。

ここに、タップダンサーがレーベルをやる意味があると思いました。

これを機に、自分の耳で聴いて選んだ「レッスンで使える音源」を作ることにしました。

仕組み:AIが作り、ダンサーの耳が選ぶ

最初にはっきり書いておきます。

On Tap Records の楽曲は、AI(Suno)で制作しています。

隠すつもりはまったくありません。むしろ、そこがこのレーベルの面白いところだと思っています。

1曲が世に出るまでの流れは、こうです。

  1. 企画 — 「基礎練用にBPM70のスウィングが足りない」など、現場の必要から曲の仕様(BPM・拍子・ジャンル・構成)を決める
  2. AIが候補を生成 — 1曲につき複数テイクを作らせる
  3. 私が聴き比べて選ぶ — 実際にカウントを取りながら聴き、ダメなものは遠慮なくボツにする。世に出さずに消えたテイクのほうが多いです
  4. 機械でも検査 — 採用した曲は、実測のBPMが指定値の±3以内か、ビートが揺れていないかを数値で確認する。練習曲はここが命なので
  5. 合格した曲だけを公開 — 最後は必ず、私の耳と足でOKを出した曲だけが世に出ます

「AIが作った曲なんて」と思う方もいるかもしれません。私も最初は半信半疑でした。

でも、視点を変えるとこう見えます。

世界のどこの作曲家も、どのレーベルも、「タップの基礎練用にBPM別で曲を揃える」なんて仕事はやってくれません。市場が小さすぎるからです。

AIのおかげで、この誰もやらなかった隙間を、現場を知るダンサー自身が埋められるようになりました。道具は新しいけれど、やっていることは「踊り手のための選曲」という、すごく古典的な仕事です。

「On Tap」という名前に込めたもの

英語の慣用句に “on tap” という言葉があります。ビールサーバーの栓(tap)から注ぎたてを出せる状態。転じて「いつでも使えるように用意されている」という意味です。

踊りたいとき、練習したいとき、いつでも蛇口をひねるように音楽が出てくる。そしてもちろん、私たちの Tap。

タグラインは Music Made for Dancing(踊るために作られた音楽) にしました。

ジャンルはスウィングもシティポップもファンクもやりますが、共通点はただひとつ。踊れることです。

ロゴはタップシューズを裏返した形にしました。ソールと、つま先・かかとのタップス(金具)です。英語では靴底(sole)と魂(soul)が同じ発音なので、そこにもちょっとだけ意味を込めています。

いま聴ける曲と、おすすめの使い方

楽曲は YouTube で公開しています(順次追加中)。大きく3つのシリーズで展開していきます。

シリーズ中身こんなときに
Basics(練習用)BPM70〜160を段階的に揃えていく、安定ビートの曲。スウィング / ストレート / 3拍子基礎練、ステップの反復練習。メトロノームの代わりに
レッスン用踊りやすい構成の完成曲振付け、クラスでのコンビネーション
舞台用ドラマチックな構成の聴かせる曲発表会やショーの作品づくり

全曲、タイトルとサムネイルに BPM・拍子・用途 を明記しています。「今日はBPM85でシャッフルの練習」という日に、探さずに選べるはずです。

たとえば、さきほど「BPM100のスウィングジャズを注文した」と書きました。その曲がこれです。

私自身、自分のレッスンと練習で毎日使っています。というか、自分が使いたい曲を作っているレーベルなので、当然ではあるのですが。

これからやりたいこと

まずは練習用・レッスン用のライブラリを充実させていきます。

その先に考えているのが、カスタムメイドの楽曲制作です。

「発表会のソロ用に、1分半・BPM120のファンクで、中盤にストップタイムが欲しい」。そういう注文に応えられる体制を作りたいと思っています。

そして何より、使ってくださった方の声が一番の燃料です。

「このBPM帯が欲しい」「こういうジャンルで練習したい」というリクエストがあれば、YouTubeのコメントか、このブログのお問い合わせからぜひ教えてください。

レーベルの仕組み上、リクエストから公開までがとても早いです。「先週いただいたリクエストが、もう曲になっている」くらいのことは普通に起こります。


タップダンサーが、タップダンサーのために作る音楽レーベル。

まだ始まったばかりですが、あなたの練習部屋の定番になれたら嬉しいです。

On Tap Records — Music Made for Dancing.

まずは1曲、踏んでみてください。

YouTubeで聴く(On Tap Records)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

出演・ワークショップのご依頼

ライブやイベントでの出演、ワークショップの講師、レッスンのご依頼を承っています。
名古屋を中心に東海エリアで活動しています。日程が未定の段階のご相談でも構いません。

コメント

コメントする

CAPTCHA

目次