事故の状況
2019年7月27日(土)、朝8時過ぎ。場所は伊豆の旅館でした。
朝食バイキングのレストランへ向かう途中、昔ながらの少し急な階段を降りていました。片側に手すりのある、ごく普通の階段です。前日と同じように、子どもを抱えながら家族で話をして、特に意識することなくあるいていました。
1歩、2歩、3歩ーー。
「あっ!」バランスを少し崩したと思った瞬間、もうどうにもなりませんでした。そのまま一番下までノンストップで転落してしまったのです。
正直なところ、どう落ちたのか、なぜバランス崩したのか。細かいことはよく覚えていません。ただ、頭打たないように体を丸めて、全身を強張らせていたことは覚えています。
騒然となる現場
現場はホテルのレストランの入り口すぐ手前。朝食の時間ということもあり、多くの人が目撃していました。一瞬であたりはざわつきました。
幸い頭を打つことはなく、意識ははっきりしていました。しかし、体は痛みでまったく動かせません。冷や汗が止まらず、子どもが出血しているらしいのですが、顔を向けることすらできませんでした。
その場に偶然にも居合わせた看護師夫婦が子どもの応急処置をしてくださいました。どれだけ心強かったことか。自分ひとりだったらパニック起こしていたに違いありません。感謝してもしきれません。
救急搬送
ホテルの方が119番へ連絡してくださり、救急車が到着しました。
救急車が到着するまでの時間は、人生で一番長く感じたのですが、実際には10分程だったようです。
痛みでで動かせない体では、不安と恐怖に押し潰されそうでした。
救急車に乗せられた後も、なかなか出発しません。土曜日の早朝ということで受け入れ可能な病院が限られており、加えて子どもと一緒にという状況。受け入れ先が見つからなかったのです。。。ニュースで耳にする「たらい回し」とか「受け入れ拒否」がどれほど不安をかき立てるものか実感しました。
最終的に旅館から救急車で40分ほど離れた病院へ搬送されることになりました。
診断結果
病院に搬送後、さっそくレントゲン撮影。これがかなり痛い!!少し動くだけで激痛が走ります。ちょっとした振動でも痛い!!背中から腰にかけての筋肉が、今まで経験したことがないほどギュッと収縮し、力が抜けない。息苦しいほどの激痛でした。
診断結果は、第一腰椎の圧迫骨折。その場で即入院が決定し、ここから寝たきり生活がスタートしました。
一緒に転落した子どは、額を2箇所ステープルで止めただけ。入院の必要はないとのことで、大事に至らなくて本当によかった。ひと安心でした。
ストレッチャーのまま長距離搬送

旅行先で一度入院は決まったものの、愛知へ転院を希望しました。理由としては、
・長期間(3ヶ月程)の入院が必要だったこと
・旅行先では付き添いが困難だったこと
・専門医がおらず、手術には転院が必要だったこと
しかし、すぐに決まるものと軽く考えていた受け入れ先が、3箇所から断られ、決まるまでに4日かかってしまいました。
転院先が決まるまでに、搬送手段も決めないといけません。自分で運転なんてできないし、動くこともできない。ベッドの上でスマホ片手に情報収集。どうやって愛知まで移動するかあれこれ調べました。
介護タクシーを初体験
恥ずかしながら、今回、初めて【民間救急】【介護タクシー】というサービスがあることを知りました。てっきり救急車で搬送してもらえると思っていたのですが、救急車が使えるのは、最初の搬送のみ。転院は自ら移動手段を用意する必要があるとのことで、そういったニーズの受け皿が「民間救急」と呼ばれるサービスだそうです。
出発の日。8月1日 早朝3時半頃に入院先を出て、ストレッチャー のまま名古屋へ向かいました。運転手の方はとても気さくで、介護タクシーを始めたきっかけを聞かせてもらったり、終始おしゃべりしながらの約6時間。名古屋に着いたのは朝9時半頃でした。
医者からもかなりの痛みを覚悟するよう言われていましたが、厚手のマットレスを用意してもらうなど、しっかり準備していただいたおかげで、ほとんど痛みもなく名古屋に帰ってこられました。本当にお世話になりました!!
精密検査と衝撃の診断
転院先の病院は、子どもが生まれるまで過ごした場所の近くで、子どもの出産もこの病院でした。何かしらの縁を感じられずにはいられませんでした。
初めての検査ばかり
到着後、初めて受ける検査ばかり。
- CT
- MRI
- 動脈採血 ← 激痛!!!
- 造影検査(脊椎)
- 血管造影検査
- 心エコー etc…
手術までは約2週間。痛みも少しずつ減り、起き上がれないのが不思議なくらい元気でした。正直、ちょっとした夏休み気分でしたが、担当医から症状の説明を聞いた時、あまりの内容に衝撃を受けました。自分のレントゲン写真を見るまでは、もっと楽観的に考えていたのです。
最終的にわかった怪我の状況
精密検査の結果、転落による骨折は、全部で3箇所でした。
・第一腰椎
・左椎弓(背骨の後ろっかわの一部)
・仙骨
一番酷かったのが、第一腰椎の破裂骨折。椎体が原型がわからなくなるくらいバキバキに割れ、元のサイズから56%も潰れてしまっていました。
さらに折れた椎体が後ろの神経管側にもせり出し、40%近く神経を圧迫しているとのこと。
脚に痺れや麻痺症状が現れていないのは、まさに不幸中の幸い。奇跡的でした。一生車椅子生活となっていた可能性も十分にあるほどの潰れ方だったそうです。
これからの道のり
重いものを持ったり(子どもの抱っこも)、運転はしばらくの間NG。もちろんダンスもできません。
ボルトで固定されてるため、腰をひねったり、前や横に曲げることもダメとのこと。退院後もコルセットは24時間装着が前提です。
通常の生活に戻れるのは、回復次第ですがおよそ1年半〜2年後。その後、様子を見ながら背中のボルトを外す(もしくは減らす)手術を経て、ようやくひと段落とのこと。予想以上に長い治療生活になりそうです。
まだまだ入院生活は続きます。
入院生活をはじめ、手術後の状況やリハビリなど、復帰するまでの過程を少しずつ記録していこうかと思います。